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山崎美弥子にインタビュー、モロカイ島で描き続ける“1000年後の未来の風景”

<基本情報>
氏名:山崎美弥子(Miyako Yamazaki)
活動拠点:ハワイ・モロカイ島
職業/活動:アーティスト
インスタグラム:@miyakoyamazaki

■More about 山崎美弥子
多摩美術大学絵画科卒業後、東京を拠点に国内外で作品を発表。一転し、2004年から太平洋で船上生活を始め、現在は人口わずか7000人のハワイの離島モロカイで家族と暮らしながら、“1000年後の未来の風景”をキャンバスに描き続けている。関連書籍は『モロカイ島の贈り物』(産業編集センター)、『Love Speaks』(光琳社出版)、『モロカイ島の日々ーサンダルウッドの丘の家より』(リトルモア)、『ゴールドはパープルを愛してる』(赤々舎)。

■子供の頃の夢を教えてください。 

子供の頃の夢は、大きく分けてふたつありました。ひとつめは、美しい自然で溢れた場所で暮らすこと。これは私の生まれが品川区で、コンクリートに囲まれた住宅街で育ったことから、いつか山の景色や水平線が窓辺から見えるような場所で暮らしてみたいと、ずっと憧れていました。

そしてふたつめの夢は、いつか絵本を作ること。小さな頃から私は絵を描くことが大好きだったのですが、当時は絵本くらいしか<美術>というメディアを知らなかったので、“アートを伝える手段”として絵本を思いついたのでしょうね。

今こうして大人になって、私は絵描きとして活動することができているのですが、ふと子供の頃を振り返ってみると、当時から自分の魂はそうなることを知っていたような気もします。それは少し不思議なお話でもあるのですが、誰に教わったわけでもないのに、小さな頃から自分の絵の“価値”を理解していて、仮に描き損じたものがあっても絶対捨てようとしなかったんですよ。「この絵は価値があるものだから、捨てるのだけは絶対に嫌。」って。面白いでしょう?自分でもうまく説明できないのですが、物心ついた時から私にとって絵は、それだけ特別な存在でした。

■幼少期から、絵の価値を理解していたなんて凄いですね。

自分でもすごく不思議に思っていたんですけど、まだハワイに住んで間もないない頃、当時の感情について「ああ、なるほど。」と、腑に落ちる出来事がありました。それは私の若い頃からの知り合いの一人で、目に見えない世界を見通す能力を持った女性の方がいるのですが、彼女が私の絵をオーダーしてくださったときに、「美弥子さんは、過去世で宗教画をスペインで描いていたことがある」と、話してくれたことがあったのです。

私はその年代のヨーロッパの職業に関してあまり詳しくはないですが、当時は貴族の人たちに向けて絵を献上するような特別な職業の画家がいたそうで、その絵のほとんどがマリア様や聖書の中のモチーフといった、宗教画だったようなんですよね。もちろん非常に繊細な細密画を特徴に持つ西洋の宗教画に対して、私が描く絵の画風は全く別物なのですが、彼女曰く“そこから出てるエネルギーが同一である”と教えてくれました。もちろんそれが事実だと確かめる方法はない訳ですが、私はそのお話を伺った時に凄く納得したんですよ。何故って、もし過去世で私がその職業に就いていたなら、魂レベルで子供のころから絵の価値を知っていても、不思議なことではないはずだから。そう考えると、子供の頃に素直に感じた夢や感情は、沢山のヒントが隠されているのかもしれませんね。

現在の活動を始めたきっかけは?

大きなきっかけとなったのは、小学校5年生くらいの頃、いわゆる“神秘体験”を経験したことです。その体験とは、急に天使が現れてメッセージをくれたとか、UFOが金星に連れて行ったとか、そういった具体的な現象ではなく、あくまで自分の意識の中だけの出来事でしたので、言葉で説明することがすごく難しい。だから、私にとって自然な存在であるアートを通して、神様から垣間見させてもらった世界を表現し続けているのです。

その“世界”について皆さんがイメージしやすいように、私たちが普段いる世界を<モノクロの世界>だと例えましょう。私たちは、色が全くない世界を当たり前だと思って暮らしているのだけれど、ある日突然“窓”があることに気づきます。そして、その窓がパッと開いた向こう側には、今まで見たこともなかった<カラーの世界>が広がっている。そしてさらに、その世界こそが“真実”だったと気づくような感覚なんです。それは無条件に、誰もが受容される愛の世界だったと、私は表現しているんですけど、その世界を垣間見させてもらったとき、その素晴らしさに圧倒されて、2時間ほど声をあげてわんわん大泣きしてしまったほど衝撃的な体験でした。そこから一体どうすれば、またあの世界を見ることができるのだろう?と、探求をすることが私の人生の一部となり、自然な流れでずっとアートの世界に身を置いています。そして現在、私が20年ほど描き続けている<海と空の絵>は、これらの体験をもとにしたものであり、“1000年後の未来の風景”と比喩して制作しています。

■日々の活動のインスピレーションは、どのように得ていらっしゃいますか。

改めて新しいインスピレーションを求めるということは、ないかもしれないです。今お話させていただいた体験がベースとなっているので、絵筆をとってずっと同じ作業をしている感覚。

ただ、やはりこのモロカイ島から見える美しい風景は、私にとって凄く大切なものですね。作品活動だけでなく、人生レベルのインスピレーションになっているのかもしれません。

■現在の活動を通して、この世界にもたらしたいことは? 

絵を通して、全ての人の中に“愛の世界”があることを伝えることができたらと思っています。

私が子供の頃に垣間見た世界というのは、決して私だけがアクセスできたものではなく、全ての人の中に最初から存在しているもの。あらゆる手段を駆使して、どうにか辿り着ける場所ではなく、もう”既に”私たちの中にある世界なのです。いつもずっと側にいてくれているのに、私たちはただその世界へと通じる“窓”の存在に気付いていないだけなんですよね。

だから私はその世界の存在をずっと身近で感じられるように、キャンバスを窓に例えて、絵を描き続けていきたい。「この窓(キャンバス)の向こうに、この風景があるよ」「あなたはこの世界に住んでいるんだよ」と、皆さんにメッセージを届けることができたらと願っています。

あなたの人生の中で、お金とはどんな価値を持ちますか。 

実は私、あまりお金について一生懸命考えたことがないんですよ。凄く恵まれた立場にいると思うのですが、お金が全然なかった駆け出し時代から変わらず、お金に対して特別な感情があまりなかったというか。ただお金の量で、人の価値は左右されないなと、若い頃ふと考えたことがありました。何故なら2億、3億円を持っているお金持ちがいたとしても、普段はそのほとんどを銀行なんかに預けているわけだから、隣に並べば生身の人間に過ぎないじゃないですか。だから当時私は、喫茶店に入ることを躊躇うほど、お金がなかった時期もあったのですが、だからといって金銭面で他人と自分を比べて、引け目を感じることも特にありませんでした。

モロカイ島で暮らしている現在は、私自身あまりお金を使わないタイプなのですが、何か買い物がある時は“島の中”で購入するように日々心がけています。何故ならモロカイ島は7000人くらいの本当に小さな島のため、必然的に職が少なくお金を稼ぐ方法がない人も沢山いらっしゃる。この島に住んでいるからには、この場所でお金を循環させていくことも、大切なことだと考えているのです。例えばローカルなショップに入るのはもちろん、街の中ではお弁当やクッキーを個人で販売している人も沢山いますから、そういったものもどんどん購入します。自分で消費できないものは、近所の人にプレゼントしたりして、そこでも無駄なく循環させることを意識していますね。

■あなたにとっての「サステナブル」の定義を教えてください。 

<自然を大切にして暮らすこと>ができれば、“持続可能”という意味を持つサステナブルな考えに、自然と繋がるのだと思います。そしてそれを理解するためには、何か新しいものを取り入れるというより、過去の先人たちの叡智から学ぶことが、最もベストな近道なのではないでしょうか。

そのひとつの例として、モロカイ島の先住民の暮らしを挙げましょう。島の一番東側には、“ハワイ文明の発祥地”と云わるハラバという渓谷があるのですが、────ハワイの人たちが代々口伝で受け継いできた情報によると、そこは紀元前2000年前にマルケサス諸島という島から、カヌーで辿りついてきた人たちから始まった場所だったそうです。彼らが何故ハラバを選んだのかというと、そこには飲み水となる滝があり、川があったから。そして川があるということは作物を育てることができ、すなわち自給自足できるだけの要素がその土地に備わっていたということなんですよね。そう考えるとハワイの一番最初の暮らしというのは、”サステナブル”という言葉が意味する文字通り、持続可能なライフスタイルであった。逆にサステナブルでなければ、自分達の命そのものに関わることですから、生活そのものが成立しなかったんですよね。

こうした先住民の暮らしを学ぶと、人間というのは本来自然の一部として暮らすことは、すごく本質的なことだったことが分かります。なにも人間だけが特別な生き物ではなくて、鳥や昆虫と同じように自然のサイクルのなかで生きることが、本来の姿であると思うのです。だから“一生懸命サステナブルに取り組む”という今の状態は、むしろ不自然なこと。それよりも自然に身を起き、本来の感覚を取り戻すことの方が、今の私たちにすごく大切なことであるとも感じています。

これからの地球に、もっと必要だと思う意識は? 

サステナブルについての話とリンクしますが、私たち人間は“全体の一部である”という意識が必要だと感じます。そしてそれは切り離された一部ではなくて、全てが繋がっているもの。つまり私たちは一部でありながら全体であり、全体も自分であるということです。

地球上では、全体というのは自然のことを指しますが、この自然というのは驚くべきほど“無条件の愛”を日々私たちに与えてくれる存在ですよね。例えば太陽一つをとってもみても、毎朝必ず昇ってきてくれる。太陽の恵みがなければ私たちは生活すらできないのに、“年間1000万円!”なんて契約も利益も何一つなく、無償で私たちに与え続けているのです。

よく「全ては愛です」なんて耳にすることがあると思いますが、これは決して綺麗事ではなくて、自然界の視点から考えると真理なのだと感じます。私たちも、無償の愛で満たされた自然の一部である以上、この感覚を思い出すことってとっても大切なことですよね。

<We want to know more about you…!>

■ご自身の一番好きなところを教えてください。

現在52歳を迎えたんですけど、若かったときよりも、今の自分の方が好きだなと思えるところ。もちろん年を重ねるごとに、外見的な変化は現れるわけですが、マインド的な部分では、今まで以上に自分の年齢と魂がマッチしていると感じているんです。それは私にとって凄く心地が良い状態なので、今の自分を凄く気に入っています。

■自分自身に対して、大切にしている習慣は? 

頑張りすぎないことと、自分の感覚に嘘をつかないこと。この二つの習慣は、長年自分のために、結構練習を重ねてきました。

■失敗から学んだ一番教訓は? 

起きた出来事を、失敗/成功という物差しで見てないかもしれないです。ただ人生というものは、山あり谷ありが付き物で、私の人生でも数えきれないほど多くのアップダウンを経験してきました。そしてだんだん年齢を重ねてくると、10代・20代では気づけなかった自分の人生の“パターン”が何となく分かるようにもなってくるから、例え世間で失敗と思われる出来事があったとしても、全然怖くない。「これは次のステージに上がるためのサイクルなんだ」って、頭の中できちんと理解できているんです。

もちろん絶体絶命!みたいな状況が起きた時に、悩んで苦しんでいる自分ももちろんいるのですが、同時にこれから起こる出来事に対して、凄くワクワクしている自分も存在しているというか(笑)。 ここまでくると、凄く不思議な心理状態ですよね。

■地球で過ごす時間が残り1年だったら? 

今と変わらず、同じ生活を続けます。

■次世代の子供たちに伝えたいメッセージは? 

不可能なことなんて存在しなくて、何でもできるということ。この世界というのは、あなたが作り上げているものであり、あなたとイコールの関係にある。だからあなたは自分の中の神を信じて、好きなことを沢山クリエイトしてほしい。無限の可能性を心から信じて。