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「マザーアース」山本朱美にインタビュー、新たな意識の“きっかけ”となる役割を目指して

<基本情報>
氏名:山本朱美(Akemi Yamamoto)
活動拠点:葉山・湘南エリア
仕事/活動:(株)マザーアース代表、香りのプロダクト「ZEN」をプロデュース、環境情報誌フリーマガジン「UPCYCLE」の編集長 ほか
インスタグラム:@akemism

More about 山本朱美

外資系化粧品会社のPRや、エディターとしての会社員時代を経て独立。2020年、(株)マザーアースのメインプロダクトとなる「ZEN」をプロデュースし、伊勢丹新宿店に限定ストアの出店を果たす。また、環境情報誌フリーマガジン「UPCYCLE」の編集長や、イベント運営に携わるなど、多岐の分野でも幅広く活動。2021年現在は、葉山にある古民家にて、半自給自足やエシカルなライフスタイルを実践中。

子供のころの夢を教えてください。

「ユニセフで働き、難民の子供たちをサポートすること。」

幼稚園生の時、自分の夢を絵に表現してクラスで発表する時間があったのですが、何故か私だけ、全く子供らしくない夢を提出しました(笑)。今でもその絵が自宅に残っていますが、小さな私は、どうしてそんなことを思い描いたのか分かりません(笑)。しかし私は、幼い頃から「人のためになりたい」と、そんな“使命感”を強く感じており、何らかのきっかけで知ったユニセフの広告を見て、子供ながらに居てもたってもいられなかったのだと思います。

現在の仕事/活動を始めたきっかけは?

大きな転機は、結婚を機に東京から湘南へ引っ越したこと。それまでは、恐ろしいほど多忙な“バリキャリ”会社員生活を送っていました。約2年半の海外生活を挟んだものの、外資系化粧品会社や広告代理店の編集部専属エディターなど、様々なキャリアチェンジを経験してきました。激務だけでなく職場のストレスもあり、何度か体調を崩しました。20代を仕事に捧げて気が付いたことも多く、人生の豊かさを見つめ直すために、湘南の暮らしを選び移り住みました。東京とは、180度異なる生活がスタートし、時間が経つにつれて、本来の自分に帰依するような感覚を覚えました。それからでしょうか、徐々にナチュラルなライフスタイルへとシフトし、会社員ではなく“独立”という道を選びました。

現在は、葉山の小さな山の上で暮らしています。葉山は湘南地区の中でも豊かな自然が残る場所です。大人になってからの夢でもあった、農的暮らしが叶って、毎日新たな発見が多くとても楽しく過ごしています。そして、自然の中に身を投じる時間が多ければ多いほど地球への愛や感謝が増し、地球にとって優しい選択を重要視するようになりました。

日常的に使用するものやチョイするものに変化がありましたし、仕事に置いても変化がありました。今までは、どれほど納得が行かないアイテムでもセールスライティングをする必要がありましたし、自分が良いとは思わないアイテムも世に出す必要があって、ある意味自分に嘘をつき続けて来ました。独立して、しがらみから解放されたあとは、本当に納得が行くものだけを世に出したくて「ZEN」を立ち上げました。コンセプトは、”自分自身を整える”。100%ピュアでナチュラルな精油を厳選して使用し、自分自身を整えるお守りの一つとして手にとって頂きたく開発した経緯があります。今の日本は、精神性が高く成熟した女性が溢れていますが、時代が伴ってないのでは?と感じたり。となると、心が満たされず、フラストレーションを抱える女性が多く見受けられます。そんな皆さんの苦しみや悩みを香りの力を使って少しでも解放することができればと思っています。

それから2021年の秋には、地球について考える場を提供したいという思いから、「LOVE the EARTH PROJECT」※というエシカル系イベントのプロデュースも務めさせていただきました。当日は沢山のコンシャスなお客様がお越しくださって、新たな時代の節目にいることを改めて感じましたね。私は、もっともっと地球に対するポジティブなムーブメントを広げて行きたいと考えているので、これからも挑戦を続けたいです。

※「LOVE the EARTH PROJECT」
2021年9月、湘南・茅ヶ崎にて開催した1DAYイベント。持続可能な地球の未来を創造するために、今すぐできるアクションを学ぶセミナーの開催や、プラントベースのスイーツ、エシカルなプロダクトの販売などを実施した。

現在の仕事/活動を通して、最も嬉しいと感じる瞬間は?

自分の存在が、環境問題を考えるきっかけになったり、新たな価値観となったり、また、誰かの喜びや笑顔のきっかけになったりする瞬間が一番嬉しいです。私は普段より、葉山のエシカルなライフスタイルを発信しているのですが、そういった中でも「マインドが変わりました」などとコメントをいただく機会が増えてきて。例えば、我が家で実践している庭先養鶏で、<鶏のフリーゲージ>についてお話をする機会が多く、その都度「平飼いの卵を選んで購入するようになりました」、「鶏や卵の現実問題について考えるようになりました」などと、嬉しいリアクションをいただくことがあるんですよ。

今地球上で問題としてトピックに挙げられていることは、人間の悪意から生まれたわけではないと思っています。ただ、“知らなかった”だけ。誰も小さな生命体を傷つけたくてスーパーで卵を買ってる、なんてことはないのですから。ただ結果的に、自分たちの選択が犠牲者を生んでしまうことがある。その為にもまずは、本質を見極めて正しい知識を得ることが大切ですし、わたしの発信がそのきっかけになれるようであれば、凄く嬉しく感じます。生産者・消費者が正しい知識を持つことができれば、地球には愛に溢れたチョイスが増えるはずですからね!

普段の仕事/活動に関するインスピレーションは、どのように得ていますか。

もっぱら旅や、自然の中で過ごす時間こと、土いじりをすること。アウトプットばかりし過ぎると、どうしてもバランスが崩れてしまうので、頭の代わりに五感を使える時間を設けることが私にとって大切な時間です。特に土いじりは、神秘的な地球の仕組みに触れることができるので、人生が豊かになりますよ!

この仕事/活動を通して、この地球にもたらしたいことは?

“意識のボトムアップ”

人間はこれまで、地球の資源を消費し続け、破壊することに、悲しくも注力し続けてきましたが、私たち人間が古来から受け継ぐ知性や叡智を<破壊>ではなく、<創造>に使うことができたら、素晴らしくピースフルな世の中になると私は信じています。

そのためにも、私たちの意識を高め、本来備わっている日本人の霊性を高め、あるいは思い出して行く必要があると感じます。活動を通して、一人でも多くの意識に働きかけることができれば、私の本望。人間は、思いがけないことがきっかけでパラダイムシフトが起こることあるので、スイッチを切り替えるきっかけになれたらいいな、なんて思うのです。

現代は時代が移り行く端境期(はざかいき)ですから混沌としているけれど、集団意識は思っている以上にパワフルなので、愛に溢れた優しいマインドを持った人たちが増えれば、きっと愛の連鎖が循環して行くはず。だからどんな時も “私なんかが一人やったくらいで…”なんて思わないで、どんどん発信するべきだし、行動すべき。必ずどこかで誰かが見てくれて、応援してくれる人が現れてくれるはずですから。

あなたの人生の中で、「お金」とはどんな価値を持ちますか?

「学びのツール」。

お金の存在は、とてもユニークで、神様から手渡されたギフトなのかな?なんて思う時があります。ある意味、人生観や人間性をガラリと変えてしまうほどパワフルなツールだと思いますし、“どのように使うのか、どのように扱うのか” によって、良し悪しではなく、その人のエゴが垣間見えたりしますし(笑)。同時にお金を使う中で、沢山の精神的な学びがあるとも思うんです。

お金は、どこかに偏りすぎず、川のせせらぎのように穏やかに滞りなく流し、バランス良く循環させることが、この世界の理想的なあり方だけれど、そのためには今の歪んでしまった経済システムや資本主義的なイデオロギーを見直すことが第一かもしれません。世の中のトップにお金が君臨し、お金を持つことが正解になっているし、まるで支配されていると錯覚するような構造なので。我々が声を上げてお金の在り方や資本主義の在り方を根本的に崩していかないと、世界的な平和は訪れないと考えます。

あなたが考える【サステナブル】の定義を教えてください。

循環させること。そして、持続させること。

そもそもサステナブルが持続可能という意味がありますが、地球にある資源を無駄にすることなく循環させること。土の微生物を含めてありとあらゆる生命体と共に命を繋いで行くことが、サステナブルであると思います。

“スイッチを押したら電気がつく”、“蛇口をひねれば水が出る”というのは、決して当たり前のことではないですし、人間が、限りある資源を無限であると勘違いして消費し続ける限り、必ず終息が来ます。永遠はありませんし、永遠に続くことはありません。だから、“消費して終わり”ではなくて、人間の知恵と叡智を使って循環させる努力が必要不可欠だと思います。

また、人間関係だって、お互い無理なく続く“サステナブルな関係性”が理想であって…。何がサステナブルなのかな?と、様々な視点で考えてみると、お客様を“もてなす”過剰なサービスは、実は全然サステナブルじゃないんですよ。必要以上に包装紙を使用して商品をラッピングしたり、お客様に迎合して自分自身をすり減らすカルチャーは、全く平等ではありませんよね。売る側もサステナブルである必要があるし、サービスを受ける側や買う側も、そろそろ“お客様は神様”的な意識を変える必要があるかと。社会全体が、もっと時代に合わせた持続可能なサービスへ切り替えるフェーズに入るべきだと感じていますし、そうすることで同時に環境問題も解決されて行くはずです。

<we want to know more about you…!>

ご自身の一番好きなところを教えてください。

日本人ってこの手の質問が苦手ですよね(笑)。私も同じく苦手ですが、俯瞰して見た時に、真っ直ぐであるところが好きかな。真っ直ぐ過ぎて不器用であるがゆえに誤解されてしまうことも多々ありますし、不器用さを愛すことができませんでしたが、そんな自分も愛おしいです(笑)。

自分自身のために大切にしてる習慣は?

自分にとってプラスにならない人とは、無理に時間を共有しないこと。自分のワガママを聞いてあげること。疲れたと感じたら、どんなに大切な予定であろうと休息する時間を選ぶこと。ですね。自分の人生において、有限な時間は?そう考えたときに、ネガティブなモノコトに費やす時間が、非常に無駄だと感じます。私自身が私らしく生きられる瞬間を大切にしていきたいと決意しているので、不必要に感じられたモノコトは、感謝の心を持って手放します。

手放したスペースには、これはもう宇宙の法則で、必ず他のモノコトが入ってきてくれるので、心配しなくて大丈夫。だから今現在の私は、沢山の素晴らしい仲間に囲まれて過ごせていますし、その時間が、私の人生をより豊かなものへと変えてくれます。

失敗から学んだ一番の教訓は何ですか?

失敗から学んだ一番の教訓は、失敗なんてないということですね。また、失敗は、全て“ギフト”だと捉えています。もちろん人間ですから、腹を立てたり、悲しんだり、悔しがったりすることもあるけれど、それは感情という一種の反応であって、自分の失敗とは、直接的に関係ありません。冷静になって思い返すたびに“ああ、ギフトでしかなかったな” と、感謝することばかり。だから失敗は、全然ネガティブなことではないですね。我々が学び、今よりさらに進化するための、通過点であり単なるプロセスです。

あなたを動かす一番の原動力は?

「伝える」そんな使命感をずっと感じ続けていて、私の原動力にもなっているのだと思います。あくまでも一例ですが、私自身鶏を飼っていますが、鶏は声を発することができないため、鶏の代弁者として、人類に物申すとか、そんな感じの「伝える」使命感(笑)。私の発信が誰かの“生きるヒント”になったり、私のプロダクトが、誰かの支えになったりするのであれば、こんなにHAPPYなことはありません。自分が学んだことは、惜しみなく明け渡して行きたいです。

地球で過ごす時間が残り1年だとしたら、何をしたいですか?

特に現在の日々と変わらず、大切な人と過ごし、思い立っては様々な場所を旅していると思います。残り1年だとしても、そうでなくても、地球という惑星で、地球と一緒に思い切り遊び尽くしたいですね!

次世代の子どもたちに伝えたいメッセージを教えてください。

20代の頃に、めちゃくちゃ苦しんだから言えることがあって(笑)。一昔前の価値観や思想に縛られず、本来は、全ての人間が自由な魂を持っている、ということに気が付いて生きて欲しいです。もっともっと次世代が盛り上がって行けば、今の現状を180度変える大きなムーブメントを起こせるはず。思い切って遊びながら、ムーブメントを起こして欲しい。そして誰に何を言われようとも、自分が持っている力を心から信じて欲しいです。ドリームキラーやモチベーションキラーは、すぐそばに居て、時にがんじがらめにしてくる時があるかもしれない。でもその度に自分の内側に立ち戻って、自分の感覚と違和感を信頼して歩んで欲しいです。