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「スリーゼロファーム」松葉敏道にインタビュー、自然栽培農園で“小宇宙”を作る

<基本情報>             
氏名:松葉敏道            
活動拠点:千葉/南房総     
職業/活動:「スリーゼロファーム」開園
インスタグラム:@3zero.farm.resort
関連HP: https://3zero.official.e 

■More about 松葉敏道
大手ゼネコンに務めた後、定年後に自然栽培を行う農園「スリーゼロファーム」を千葉・南房総にてスタート。<農薬・化学肥料・電磁波オールゼロ>のこだわり抜いたアプローチが特徴で、オーガニック野菜や米の栽培をはじめ、日本蜜蜂の養蜂も行っている。また農園で収穫された野菜などは、オンラインでの販売も行なっている。

・子供の頃の夢を教えてください。

大きく分けて3つありました。一つ目は、子供の頃からガキ大将で、ものすごく運動神経に長けていたので、学校の体育の教員になること。二つ目は、私の父が松坂牛で一等賞をとるほどのブランド牛を飼育していた環境で育ったこともあり、北海道の酪農に進むこと。そして三つ目が、当時高度経済成長期(※)を迎えた時代背景から興味を持った建築の道で生きていくこと。最終的に私は<建築>を選び、大学卒業後からは大手ゼネコンへと入社しました。

※高度経済成長期
日本経済が飛躍的に成長を遂げた1955〜1973年にあたる時期。新幹線や高速道路の開発を始め、日本全国で建設ラッシュを迎えた。


・現在の仕事/活動を始めたきっかけは?

ゼネコンに在籍していた現役時代、ビルや住宅の建設が、直接的に自然環境を破壊してしまっている現実に、心のどこかでずっと違和感を感じていて。世の中がどんなに便利なっても、自然だけは大事にしなければならないという気持ちが、“引退後に百姓になって、農業をやろう”という新たな夢に繋いでくれたのだと思います。

そして、いざこうして農業を始めてからは、今まで見えていなかった農薬や化学肥料といったものにも、疑問を覚えるようになりました。作物を育てる上で虫がいるのは当たり前だし、雑草が生えるのも当たり前。そういった自然の万物全てを大切にしていきたいと感じたので、最初は有機栽培、そして現在の自然栽培へと自然な流れで段階的に移行していきました。

・仕事/活動を通して、最も嬉しいと感じる瞬間は?

種を蒔いて芽が出てきて、それがどんどん成長していき、自分の手で収穫を迎えられる瞬間。それが一番嬉しくて幸せなひと時です。

それから収穫後は、みちの駅や産直販売所などでも販売させていただくのですが、お客さまが<自然栽培>と書かれたラベルから、私の野菜に興味を持ってくださることもあるんです。もちろん自然栽培は、他の生産方法と異なり、すごく手間暇がかかるモノですし、消毒や肥料など気にしない方にとっては、割高な価格なことは十分承知しています。それでも「これは自然の土の力で出来た野菜なので、本当に甘くて美味しいですよ。」とお伝えすると、「それじゃあ、この野菜をください」と笑顔で買ってくださる方々も沢山いらっしゃって。その言葉を直接聞けることは、すごくありがたいことですし、やっぱり私自身すごく嬉しいですね。

・仕事/活動に関するインスピレーションは、普段どのように得ていますか?

農作業をしている時や、自分一人になった時間など、日常生活の何気ない瞬間に、ふと降りてくることが多いです。

・仕事/活動を通して、この世界にもたらしたいことは何ですか?

 自分の農園を通して、本来の美しい地球環境を取り戻しいきたい。その上で、私はこの農園の中でひとつの“小宇宙”を作りたいって思っているんです。それは野菜だけではなく、虫や動物も含めた自然の万物が存在する空間。少しずつでも広げることが今の目標です。            

・これからの地球に、もっと必要だと思うことはなんですか?

人間という生き物は、そもそも自分勝手な生き物で、“自分さえよければ”という考え方をどこかに持っているので、そこをまずは改めて<思いやり>を持つことがもっともっと必要だと思います。

その思いやりの心は、人に対してはもちろんのこと、植物や動物に対してもそう。<植物は植物><動物は動物>の本来のあり方をリスペクトしていれば、人間が勝手に手を加えて、自然のリズムを乱してしまうことなんて、なくなると思うのです。

私は野菜を栽培する上でも、“自分が野菜を育てている”という気持ちではなく、彼らが成長していく過程を、“手助けさせてもらっている”という想いで続けています。収穫した野菜が美味しいのは、その野菜たちが成長していく上でいただいた自然のエネルギーがあってからこそ。私はただ手助けをしただけなんですよ。

農園の一角では、希少な日本蜜蜂の養蜂も行われている。
自然界や蜂の生態系のバランスを考慮し、全ての蜜を摂ることは決して行わないのだとか。

■サステナブルの定義を教えてください。

地球や動物に<愛>を持って選択を続けること。目指すべきは、動物との共存だと感じています。地球は人間だけのものじゃない。全てにおいて独り占めしようせず、他の人とシェアすることも、サステナブルなあり方だと感じています。

 
<we want to know more about you…!>


・ご自身の一番好きなところを教えてください。
クヨクヨ引きづらないこと。仮に目の前で何かが壊れてしまっても、“形あるものは、いつか壊れる”といったマインドで、過ぎてしまった出来事をすぐに切り替えられることが私の長所だと思います。


・あなたが自分自身のために、大切にしている習慣は?

背筋をシャーンとする事。すると常に物事を前向きに考えられるんです。

背筋を丸めると約3メートル先しか見えないけれど、背筋をシャキっとすると10メートル先も、よーく見えるでしょう?こうして脳みそさえ上に向けていれば、自然にマインドも高めることができるのかもしれないって思うんですよ。

共同経営を行う長女•Shielaさんと


・失敗から学んだ一番の教訓は?

長女を厳しく育ててしまったことは、今でも一番後悔していて、子供の力を信じて自由にしてあげるべきだということを学びました。

私には現在3歳になる孫がいるのですが、今では孫と話すときに3歳の子供の背の高さまで下がって、対等な立場で話しています。一歳には一歳の人生が、三歳には三歳の人生がある。そこに親だからとか、大人だからといった勝手なフィルターを通して、何かを押しつけることはやはり本来のあり方とはズレているのかなって。それに子供って大人から怒られると、萎縮してしまうでしょ?それは本来伸ばすべき個性を奪ってしまうこともあるから、私は今の孫には絶対に怒ったりせず、成長を見守っています。

愛情をたっぷり与えて、抱きしめあげたら、子供って例えグレても必ず戻ってきてくれるモノなんじゃないのかな。見えない愛は、きっと身体に刻まれていると思うんですよね。 


・あなたを動かす一番の原動力は?

現状、いつ地球上から天に召されても良い年代だけれど。今こうやって自分が作った野菜を喜んで食べてくれる人と出会うことが、私自身の原動力になっています。「おいしかったよ!」という言葉をいただくと、もっと安心安全で自然のエネルギーをたっぷりと詰め込んだ野菜を届けられたら、と思うのです。


・地球で過ごす時間が1年だとしたら何をしたい?

一人でも多くの方に、今の自分が知っている自然界の知識と考えを発信したい。自分一人だけの力では限りがあるから、日本国中を歩き回って、何としてでも沢山の人に伝えなければ。伝えることによって、少しでも誰かが感じ取ってくれたり、その輪が広まってくれれば、嬉しいです。


・次世代の子供たちに伝えたいメッセージを教えてください。

生きていく上で、一番大切なことは思いやり。自分の立場ではなく、相手の立場に立って考えられる人間になることが、大事だと思うんです。それができるようになるためには、まずは自分自身も心が大きな人間である必要があるから、なかなか出来ないんだけどね。

それから人を許すこと。これは一番難しことかもしれないけれど、本当に大切なことです。